岡山コミュニケーション研修講演企画・元中学校教師いなっち先生こと稲田尚久です。
前回のブログ宿題しなさいは効果なし!夏休み過ごし方で親が意識することでは、宿題をしない子どもを怒ってやらせても意味がないということでした。
ただしそれは、宿題が子どもにとって『不快』というものであるということが前提でのお話です。
実は今、僕は宿題を与えられているんです。
宿題は自己実現の欲求だから親は口出ししてはダメ
先日から【大学生と学ぶ対話型鑑賞ファシリテーション】という講座を受講していて、前半の講座を終えて宿題が出ました。
この講座は、アートの対話型鑑賞をファシリテーションする立場になるための講座なので、後半の講座までに受講者は最低2回は対話型鑑賞のファシリテーションをやってみるという宿題が出ています。
ですが、それは『不快』なことではなく、とても楽しんでいるんですよね。なぜなら、自分のスキルを向上させたいという目的があるからです。
「自分のスキルを向上させたい」という目的が明確であれば、難しい宿題が出てもそれを自分のためだと思って受け入れることができますし、楽しいって感じることもできますね。
宿題が「面倒くさい」「嫌だ」といった『不快』であることと、「自分のためになる」「楽しい」といった『快』になること、天下分け目の大きな境ですよね。
人間の欲求を5段階に分けて説明した『マズローの欲求5段階説』に当てはめるとよくわかります。
僕にとって宿題は欲求5段階の中で、どこの階層に入るでしょうか?
おそらく『自己実現の欲求』に入ると思います。
『自己実現の欲求』とは、「自分を成長させたい」とか「目標に向けて努力したい」といった、自分の中からこみあげてくる前向きな欲求です。
僕は「自分のスキルを向上させたい」という気持ちが強くあるので、他者から「頑張れ!」と言われなくても、自分でやりたくて宿題をします。
これは、自分以外の誰かから満たしてもらうことは難しい欲求で『成長欲求』ともいいます。
例えば、親が子どもの『成長欲求』を満たそうとして叱咤激励することが多いですが、ほとんどの場合効果がありません。分かりやすく言えばこういうこと。
親「高校受験に向けて、まずは夏休みの宿題がんばってね!」
子「あぁ、はいはい。」
親「何その返事は!?やる気あるの?」
子「言われなくても、それくらいわかってるし・・・」
親だろうと、他者から無理やり「頑張れ」と言われても、自分がやる気がなければ行動する気力は起きませんよね。
逆に叱咤激励されればされるほど、子どもにとっては「うっとおしい」以外のなにものでもないですから、ますますやる気はなくなっていくものです。
子どもの安全欲求を脅かす存在になっていませんか?
そして、親の叱咤激励の言葉は自分の心地よい生活を脅かすものですから、先程のマズローの欲求5段階説に当てはめてみると『安全欲求』を脅かしている可能性がありますよ。
『安全欲求』とは、「人は危険を避けたい」「安心して生活したい」という欲求です。
親があれこれガミガミ言うことは、子どもの安心を脅かす恐怖になっている可能性があるわけです。
マズローの欲求5段階説では、「低階層の欲求が満たされると、次の高階層の欲求を満たそうとする」と定義しています。
これについては、後々別の説も出てくるのですが、今回はマズローの欲求5段階説に沿って説明しますね。
子どもにとっては、「宿題をする」というのは、ゲームや動画をさせてもらえない『安全欲求』を満たすことを阻むものです。
さらに親が「宿題しなさい!」と怒ることも『安全欲求』を満たすことを阻む、怖いことですよね。
だから、怒って「宿題しなさい!」って言っても、何も効果はない上に、『宿題=親が怒る』という図式まで出来上がってしまって、ますます『安全欲求』を満たすことができないものという確信となってしまいます。
『自己実現の欲求』という頂上にあるレベルの高い欲求を、子どもが満たそうとするためにはどうしたらよいのでしょうか?
これについては、次回で考えていきましょう。
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