怒りの取り扱いアドバイザー・元中学校教師いなっち先生こと稲田尚久です。
娘がまだ中学生だったときのこと。テレビでアンガーマネジメントの特集があり、それを録画しておいて夕食中に家族で一緒に見たんですよね。そのとき、番組の中で『怒りのレベル分け』について説明されていました。
怒りを数値化するだけで子どもも大人も効果がある
怒りのレベル分けとは、自分の怒りの強さを客観的に考えて、数値化する方法。
これはアンガーマネジメントのテクニックでは【スケールテクニック】といい、【怒りの温度計】として、講演ではお伝えしています。
ちなみに、【怒りの温度計】の使い方は、いたって簡単。自分が腹が立ったときに頭の中で「今の怒りは何℃だろう?」って考えるだけでいいんですよ。そのとき、0℃が怒っていない穏やかな状態で、10℃が人生最大の怒りと設定しておきます。
なぜ、こんなことをするのといいのか?3つのメリットがあるからです。
①【反射的な言動を防ぐ】
イラッときたとき、反射的に『相手に何か言う』とか『手を出す』といったことを避けるためです。反射的に何か言うとは『売り言葉に買い言葉』。これをやってその場がうまく収まったことってないですよね。
『怒りのピークは長くても6秒』。腹が立っても『6秒』待てば、その後より良い選択肢を見つけられるわけです。怒りの温度を考えているうちに、6秒が過ぎていくのです。
②【新鮮に怒らなくて済む】
私たちは同じようなことでイライラし、怒っています。怒りの尺度を考えることで、以前に怒ったことと比べるクセが身についてきます。
そうなると、「あっ、こないだも同じことで怒った」ということに気づき、新鮮さを感じません。新鮮さを感じなければ、怒りも強くならないのです。
怒るということは、自分の主張であったり、相手へのリクエストなわけです。「自分が正しい!」と思っています。
だから、このテクニックを始めたころは怒りの温度を高くつける傾向があります。しかし、だんだんと自分の傾向がわかるので、温度も低くなってくるのです。
③【怒る回数が減る】
何度も怒りの温度づけをしていると、温度が低くなることと、さらに、自分の怒っていることにバカらしさを感じてくるようになります。
それは、全てではありませんが、意外と小さなことや怒ってもどうしようもないことなど、後から考えればどうでもいいことで怒っていることがあります。こういったことに気づけるようになるので、怒る回数も減ってくるのです。
このように、怒りを数値化することは大変効果的です。小学生や中学生にも講演で伝えています。すると、こんなうれしい感想をいただきました。
「弟とケンカしたとき、今のイライラは何℃かなって考えていたら、不思議なくらいだんだんイライラがおさまりました」(小学4年生)
「私はいつもお母さんに腹が立ってイライラすることが多かったんですが、自分の怒りの温度づけをするようになって、自分はしょうもないことで怒っていたんだって気づくことができ、今では怒る回数が減ったし、怒っても1℃や2℃くらいにしかならなくなりました。すごく楽になりました」(中学3年生)
娘に父親への怒りを数値化されてショックを受ける
そして、我が家の娘はというと、この怒りのレベル分けを見て早速活用したんですよ。そのときの様子を紹介します。
娘「クチャクチャうるさい。」
僕「ごめん。これでも気をつけているんだけど、無意識でクチャクチャなってしまうんよ。ごめん。」
僕、出っ歯なもんで口がよく開いてます(笑)だから、食事中もクチャクチャ音が響くみたいで、しょっちゅう娘から指摘されるんです。
その時に『怒りのレベル分け』を見た娘が一言。
娘「10じゃな。」
がっがっがあああーーーん。そこまで言われるとは。かなりショック。
僕「食べるときは静かに食べるべきと思ってるんじゃろ?」
娘「ちがう。」
僕「じゃあ、一度注意されたことは直すべきってこと?」
娘「そのとおり。」
ということで、一応まるく収まったのでした。家族といえど、お互いの思っていることを明らかにして理解し合わないといけないと、思い知らされたのでした。
そして、娘の指摘には素直に応じる親バカパパ。
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