岡山コミュニケーション研修講演企画・元中学校教師いなっち先生こと稲田尚久です。
子どもを『肯定する』のでもなく『否定する』のでもない関わり方について今回は、以前に妻が書いたブログをリメイクしてお届けします。
子どもの言い分を聴いてやることが第一歩
いなっちの妻です。
何年か前に出会った、『闘う女の子』Aちゃんについて。
Aちゃんは低学年の頃から週に何日かは欠席や遅刻をして、登校しても教室に行きたがらない。いわゆる登校しぶりですよね。
もちろんお母さんも学校の先生も彼女の話を親身に聞いて、どうしたらいいのか考えアドバイスしてましたが、なかなか・・。
高学年になって、私がAちゃんと初めて会った時に彼女が語ったのは、だいたい以下の様な内容でした。
「○○ちゃんは人が嫌がることを言ってくる。」
「言い返すと、もっと嫌な事を言ってくる。」
「だから辛くなって涙が出てきた。」
「泣いたら○○ちゃんが“すぐ泣くんだから!”と他の子に言っていた。」
「何も言い返せなくて、つらくなって涙が出てきて、次の日は学校に行きたくなくなった。」
「言われたことがつらくて、だんだん腹が立って、頭やお腹が痛くなってきた。」
「私が先生に頼まれた事をやっていたのに“なんであんたがやってるの!”と言われた。」
「男子がうるさかったので注意したら怒ってきた。」
「先生が男子を注意してなかった。」
Aちゃんの語っているような『言動がトゲトゲしい子』や『幼くて騒がしい男子グループ』って、どこの学校にもいますよね。
そして、「あんなことは言わないべき」「こんな時は静かにするべき」と、自分は正しい事を言っているのに、相手が分かってくれない。大人でもつらいですよね。
Aちゃんとは、以下のような話をしました。
私「他の子たちは○○ちゃんとも男子とも距離を置いたりしてるよね」
A「はい」
私「あなたの考えは間違っていないし、大事なことを言っていると思いますよ。」
A ―大きく頷く―
私「大事なことを言っているのに、毎度毎度、逆襲を受けてつらい目に遭ってるって事だよね。」
A「はい」
私「先生やお母さんたちは“つらい目に遭うのはかわいそうだから、もう相手にしなきゃいいのに”って言ってるよね。“もう相手のことは気にせず過ごそう”とは思わないの?」
A「(小さな声で)思わない。」
私「よし!じゃあ決めようか!あなたはこれからどうしたい?」
A「・・・・(沈黙)」
A「闘いたい。やられたままはイヤ。」
私「分かった!闘いたいんだね!」
子どもに自分の行動を決めさせてやる
私はお母さんと先生方に伝えました。
「彼女は闘いたいそうです!」
お母さんも先生方も「え―!?」と言いましたがその後は不思議と笑顔になって
「分かった分かった!闘いたいんだね。でもお母さんや先生はあなたを見てるから、つらくなる前に助けを求めておいでよ。」
と彼女に伝えました。
その後も小競り合いがあったようですが、約2か月後に彼女と話した時
私「まだ闘ってますか?」
A「はい!(なんだか元気な笑顔)」
A「とにかく言いたいことは言うようにしました。そうしたら相手が黙ってどこかへ逃げていくようになって。お友達から“すごいね~”と言われるようになりました。それに、前より言う回数を減らすようにしました。その方がいいと思うようになったんです。」
私「まあ~。この短期間にずいぶん成長しましたね~!」
言わずに過ごした時にモヤモヤが残らないか確認し、モヤモヤを点数化すると10点満点中7点くらい。
でも家に帰るまでにはおさまっているそうです。
次の日に頭やお腹が痛くなって“学校行きたくない~”と思わなくなったそうです。
子どもを肯定も否定もしない関わり
あなたは、気付きましたか?
私もお母さんも先生も「闘うこと」を肯定も否定もしていないんですよ。
でも彼女は
「私の意思を認めてくれた。」
「自分にはお母さんや先生がいる。」
と勇気を注入された感じだったと思います。
そしていくら正しいことを言っても、相手が直してくれないこともある。そんな世知辛い世界も理解し始めたのでしょうね。
これって大人の世界でもありますよね。
職場で
「あの人の言ってることがおかしいのに・・」
家庭で
「夫が(妻が・子どもが)おかしいから言ってるのに・・」
でも相手を変える事に執着し続けても、余計に相手との関係が悪くなったり、自分がつらくなってメンタルヘルスを壊すこともある。
アンガーマネジメントにも共通する大事な事を小学生の女の子は学んだと思います。
アンガーマネジメント、コミュニケーション、子育て
子どもから大人まで、岡山発どこへでも
研修や講演のご相談はお気軽にどうぞ!
数人の子育て座談会から企業研修まで対応
企業での社員カウンセリングも対応
お問い合わせはこちらへ