怒りの取り扱いアドバイザー・元中学校教師いなっち先生こと稲田尚久です。
昨日、妻とテレビ番組を見ていて、二人でこんなことを言いました。
『ハイリスク&ハイリターン』は、投資だけでなく子育てでも危険だー!
いったいどういうことでしょうか?
毒親だったかもしれない清塚信也さんの母親
実はその番組で、ピアニストの清塚信也さんの特集をしていたんですね。
知っている方も多いかと思いますが、清塚さんは全日本学生音楽コンクール全国大会中学校の部で優勝や、ショパン国際ピアノコンクールin ASIAで優勝など、輝かしい成績を残しています。
さらに、『のだめカンタービレ』のドラマでは、演奏を吹き替えでやったり、「コウノドリ」での劇中の音楽を担うなど、素晴らしい活躍をしています。
そんな輝かしい活躍の清塚さんですが、バラエティー番組でも活躍していますよね。
その理由が、実は母親の影響だったようなんです。
幼ない頃にお笑い番組を見ていたら「笑うのは人生の後半にしろ」と、言われたといったエピソードまであるとか。
だから母親がバラエティー番組への出場を勧めていたわけではなく、母親の厳しさが『笑い』へのあこがれとなったようですね。
清塚さんは幼い頃から、ピアニストとしてのスパルタ特訓を母親から受けていたとのことです。
「音楽のことだけを考えて生きていけ。学校なんか嫌だったら行かなくていい」
こういった母親からの育て方の影響で、今でもかけ算や割り算は苦手だとか。
子どもへ強い期待や理想を抱いてはいけない
さて何が言いたいか?
こういった極端な子育ては、時として天才を育てることになるかもしれません。
がっ、しかし。これはとても危険性をはらんでいます。
それは、子どもの意志を無視した親の一方的な関わり方となるからです。
そうなることで、子どもの自己肯定感は育たないのです。
自己肯定感が育っていない子どもは、困難に打ち勝つ力を持っていませんから、何かをきっかけにしてそこで進めなくなってしまいます。
ところが、清塚さんはそういうことになっていません。
それは、母親と清塚さんが、同じ方向に向かって進んで行く目標を共有できていたからじゃないかと思うんですよね。
子どもの進みたい方向性と、親の思う方向性が、ピッタリ一致していれば、とてつもなくパワーが発揮されます。
そこが、清塚さん親子はバッチリだったんでしょう。
ところが、これって稀に見る出来事で、こんなふうに上手くいくことの方が少ないなあと感じます。
我が子が活躍できると、応援したくなるし、もっと成功するのではないかと期待してしまう気持ちはよく分かります。
「成功」を「リターン」とすると、それを求めれば求めるほど、「リスク」も高まっていくと僕は思います。何の「リスク」かというと、「人としての成長を歪めてしまうリスク」とでも言いましょうか。
幼い頃から、親の期待を背負い、手厚く練習環境を整えてもらって、そこそこの素質を持っていて、友だちよりも上手にできていた。
でも成長と共に、友だちのほうが上手になっていって、自分は伸び悩んでいき、結局そのスポーツから離れていってしまう。
こういった子どもを結構見てきました。
熱くなってきた時こそ、冷静になって「リスク」を見つめないといけません。ただ、リスクを顧みず熱くなるのもその人(親)の生き方なので、その人の生き方に対してとやかく言う権利は僕にはありません。
でも、やはり子ども達の「人としての成長」を考えると、子どもへ強い期待や理想を抱いき、親の大きな期待を押し付けるのは時に、同時に「リスク」も考えてほしいと思います。
「あなたがやりたいって決めたことなんだから!」と言う声を聞きますが、子どもへ責任を擦り付けている可能性もありあます。
子どもは、親の意向を察する気持ちが強いですから、本当は自分の意志ではなくても、親が喜ぶのであればやってみようという気持ちになるもの。
また、本当に自分がやりたいと思っても、子どもは見通しを立てるのが苦手なので、途中から辞めたくなることもあるんです。
でも親の気持ちを考えると、止められなくなるもんなんですよ。
「僕はやる気はないけど、お父さんがやれって言うから続けている」
僕が現役教員時代、こういった子どももいましたね。
子どもへ親の想いを託すのはやめましょう!
それは、偶然に上手くいくこともありますが、親の望む結果が出なかった時、その出来事を、子どもにどう意味付けするかは、「子どもが人として成長するためには」という視点で考えてほしいと思います。
『ハイリスク&ハイリターン』の危険性。
子育てでは、そういう視点も必要ですね。
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