岡山コミュニケーション研修講演企画・元中学校教師いなっち先生こと稲田尚久です。
「親が望む子ども」に育てるのではなく、「子どもが望んでいる親」になっていますか?
子どもの気持ちに共感して見守るお母さんとお父さん
とある場所の駐車場に車を泊め、降りて歩いていると、なんと!駐車場の片隅で幼い男の子がお母さんの前で地面に寝っ転がっていました。
僕はその横を通りながら「どうしたんかなあ?」と声をかけると、お母さんはニコニコしながら「お兄ちゃんに負けて悔しがっているんですよ。」と、教えてくれたのです。
「ああー、そうかあ。お母さんは、この幼い男の子の気持ちに共感できているんだなあ。」
だから、すぐに立たせたり、怒ったりせずに、しばらく子どもに寄り添っていたんだなあと、すごく微笑ましい気持ちになりましたよ。
その後にお父さんも来られて、結局その男の子はお兄ちゃんとまたいっしょに楽しそうに歩いていきました。
子育てって、こんな感じで子どもを温かく見守ってやればいいんですよね。
ところが、その逆のパターンの方が多いこと。
「早く動きなさい!」
「いつまで寝転がってるの!」
「そんなことする子はうちの子じゃないよ!」
そうやって子どもを怒れば、子どもだって自分の気持ちをわかってもらえないから、さらに泣いたり怒ったりするわけです。
これがもっと酷くなれば、子どもは泣くことも怒ることも止めてしまいます。
無反応な状態。これは子どもの感情を奪ってしまうことで、『感情鈍麻』とも言います。
親の望む子どもではなく、子どもの望む親になる
今回の男の子の出来事を妻と話していて、児童精神科医の佐々木正美先生の本『はじまりは愛着から』(福音館書店)にもそういったことが書かれていることを二人で話ました。
その内容とは、次の通りです。
私たち日本人は、近年、幼い時からわが子を、親自身が望んでいる「いい子」に育てようとする気持ちが強くなっています。
子どもに対する「愛情」より、親の自己愛を大きくして子育てをしているのです。
(中略)
この自己愛の偏重と孤立の結果がもたらす子育てこそ、子どもが望む「いい親」になるのではなく、親が望む「いい子」にさせてしまう生き方なのです。
子どもの成長や子どもの残す成果を、親は自分の『手柄』のように捉えている人がいるんですね。
子どもが「有名大学に入った」など、世間一般から「すごい!」と言われる成果を残すことに価値を感じてしまっているわけです。
これは、子どもも親も『優越感』を感じるだけであって、自己肯定感は生まれてきません。
じゃあどうすればいいのか?佐々木正美先生は、こう書いています。
「親が望む子ども」に育てるのではなく、「子どもが望んでいる親」になるという気持ちを忘れないこと。
そして、成果を急がず、ゆっくりと育ててやりたいものです。
この部分を読んで、「やっぱり佐々木先生の本はホッとするよね。」と、僕も妻も二人で再確認したのでした。
子どものペースでいい。ゆっくりでもいい。
親は、子どものスピードに合わせてやればいいんですよ。
今回紹介した親子の姿は、まさにその通りだったのです。
さらに佐々木先生の書いている次の内容は、気をつけないと親が陥りがちなことですよ。
親が自慢したいような子どもにそだてることこそ、じつは子どもの心をもっとも傷つけている子育てなのです。
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