怒りの取り扱いアドバイザー・元中学校教師いなっち先生こと稲田尚久です。
最近見たテレビ番組で、すごくモヤモヤしたことがありました。
その番組は、覚せい剤で逮捕され5回も刑務所へ入った40代女性を密着取材したもの。
17歳で出産、18歳で覚せい剤で逮捕。それが理由で両親からは「孫は私たちが育てる。お前は出ていけ」と見捨てられたそうです。
5回目の出所のときも、誰も迎えに来る人はおらず、出所者の自立支援施設の人だけでした。
番組の最後で、出演者の人たちが「覚せい剤に一度でも手を染めたら、こんなに悲惨な人生になってしまう」とか「だから、絶対に覚せい剤に手を出してはいけない」というようなことを言われていました。
でも僕たち夫婦は「いやいや、そこが問題じゃないでしょ!?」って、二人でテレビに向かって言っちゃいましたよ。それはなぜか?
子どもの自立は親へ依存できてから
佐々木正美先生のこの本を思い出しました。
本にはこう書いてあります。
自立とは、一人で生きていくことではありません。
人を信じて、人から信じられながら生きること。
相互依存することができることを自立というのです。
親への依存、それは親への甘え。これを十分に経験しておかないと、自立につながらず、大人になっても別のことへ依存しようとするのです。
薬物依存の原因が全て、親への甘えが不十分だというわけではないでしょうが、今回の番組に出ていた女性は親の関わり方に問題がある可能性が大きいです。
それは、今回の女性が覚せい剤を使用した1回目のときに両親から見捨てられていたことや、厳しくしつけられていたということから可能性が高いと思いました。
だから僕たち夫婦は、覚せい剤に手を出したらこの女性のような悲惨な人生に転落してしまうという番組の締めくくりかたに、とても違和感感じたわけなのです。
悲しみに親が共感していれば問題行動は起こさない
この女性を救う一番の近道は、両親が温かく受け入れて時間をかけて支えていくことだと思います。
子どもが立ち直るためには親の支えが必要なのに、女性の両親は支えるのではなく切り捨てるだけ。自分達が産んで育てた子どもへの関わり方の結果がそうしたのに・・・。
薬物に手を出したことが問題なのではなく、親の関わりこそが一番の問題点なのですよ。
幼いころに父親や母親などの保護者に愛情をかけられ、自分の要求をしっかり満たされた子どもは、家族はもちろん、学校や社会に出ても人と信頼関係を結べるようになります。
しかし、それができなかった子どもは、大きくなってから自分の要求をほかに向けるようになったり、ときには反社会的な行動をとったりするようになります。
このように佐々木先生は書いています。
子どもへ早くから躾をさせたり、自分でなんでもできるようにさせることは必要ないんです。
子育てはもっとシンプルでいい。子どもの話に耳を傾けたり、抱っこしたりして、子どもの要求に応じてやるだけで充分。
そして子どもの感情に共感してやることです。
親が子どもの喜びも悲しみも、自分のことのように感じてやることが大切ですよ。
「友達にバカって言われて辛かった。」と、子どもが言えば
「そうかそうか。それは辛かったね。」と、共感するんです。
子どもの悲しみに親が共感していれば、子どもには自然と人の気持ちに共感する力が身についていきます。
「人へ優しくしなさい」と言われて、優しい気持ちが育つものじゃないです。
自分の気持ちを温かく受け止めてもらえてこそ、優しい気持ちが育つのですよ。
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