親子の会話が増える!絵画鑑賞がコミュニケーションに効果的
怒りの取り扱いアドバイザー・元中学校教師
いなっち先生こと稲田尚久です。
僕はこれでも元美術教師。
トップ画像の鉛筆デッサンは僕が描きました。
ブログではめったに美術のこと書いてませんよね。
でもせっかくなので、親子で美術を楽しんでいただくコツも書いてみます。
絵画を通して親子のコミュニケーション
絵画好きなかたなら、この絵はご存知ですよね。
絵画を読み解くには、とっつきやすいので今回はこの絵。
この絵からどんなことを感じます?
まずは思いつくままに言えばいいんですよ。
この絵は僕が教師時代にも鑑賞の授業でよく使いました。
対話型鑑賞と言って、教師が一方的に説明するのではなく、生徒が考えたり感じたことを発言しながらいっしょに考えていくものです。
何を言っていいのかわからない子供には具体的な質問をする
でも子どものなかには、自由に発言することが苦手だったり、何をどう見ていいかがわからないといったケースもよくあります。
そんなときは、具体的な質問をするといいです。
「描かれている人は何人?」
「みんな何をしている?」
「どんな声が聞こえてくる?」
「部屋の明るさや光の方向は?」
「構図とか部屋の広さとかは?」
こうやって聞いていくうちに、いろんな意見が出てきます。
子どもなので少しふざけた意見も出ますよ。
せっかく言った意見を否定せず、まずは受け止めることがポイントです。
絵に隠された作者の意図とは?
この絵の題名は「ラス・メニーナス」
日本語では「女官たち」
作者は、スペインの画家「ディエゴ・ベラスケス」
国王フェリペ4世のために描かれたこの絵。
作者のベラスケスは、すごく考えて描いてます。
なぜかベラスケスは絵の中に描かれています。
左側の筆をもって立っているひげ面のダンディーな男性。
普通は、絵の中に自分を入れることしませんよね。
作者の目線で描きますから。
自分を入れるのは自画像のとき。
子供が言った意見から作者の意図に気づかせる
なんだかこの絵モヤモヤしてきませんか?
作者はどういう意図があるのか?
この絵の核心の部分、作者の意図を説明したいですが、できれば子どもに気づかせたいですね。
そんなときは、子どもの意見から拾い上げるのです。
例えばこちらから質問を投げかけてみる。
「描かれている人は何人?」
⇒9人
⇒いや、11人
「あれ?意見が分かれたけど、11人と思ったのはどこからそう思ったの?」
⇒後ろの壁に窓があって、そこに2人の人がいるから
「後ろに窓があって、そこに2人の人がいるって意見が出たけど、他の人はあそこの部分をどう考えた?」
⇒私もあそこは窓だと思った
⇒僕は窓じゃなくて、絵が飾ってあると思う
「ほー、なるほど。絵のようにも見えるなあ。でも、部屋の奥は暗いのになんであの部分だけ明るいんだろう?」
⇒鏡とか?
「お!鏡!?確かに鏡だったら光が反射する可能性もあるね。じゃあ、その鏡に映っている人はどこにいるの?」
⇒この絵よりも手前?
「そう!実はこの絵の手前に立っているんだ。誰が立っているのでしょう?」
絵の知識がなくても親子で語り合うだけでいい
種明かしをすると、立っているのは国王夫妻。
この絵の真ん中に描かれた女の子が、国王夫妻の愛した末娘マルガリータ。
作者のベラスケスは、国王夫妻のために国王が愛してやまない娘を眺めている視線で描いたというわけなのです。
他にも説明すればいろいろあるのですが、大切なのは説明することではないんですよ。
絵画に興味ある人は絵の知識がありますが、そうじゃない人にはチンプンカンプン。
だから美術館は面白くないとかになってしまう。
絵画も彫刻も、自分の好きなように見て語り合えばいいんです。
そうやっているうちに、疑問が湧いたり、もっと調べたくなってきます。
知識については、そうなったとき知ればいい。
夏休みにはぜひ、親子で美術館楽しんでみてくださいね。
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