子供を残酷にする可能性とは?教師や指導者の指示は責任が重い
怒りの取り扱いアドバイザー・元中学校教師
いなっち先生こと稲田尚久です
【人は誰でも残酷になる可能性がある】
ニュースや新聞で物議を醸している、日大アメフト部の悪質なタックル。
一番驚いたのが、内田監督の発言。
「あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」
と、監督自ら選手に危険なタックルを指示したような言い方。
この発言で僕はとんでもない実験を思い出しました。
驚愕の結果となったミルグラム実験とは?
1960年代、アメリカの心理学者スタンレー・ミルグラムが実施した実験。
『ミルグラム実験』といいます。
この実験のきっかけとなったのが、アドルフ・アイヒマン。
大量のユダヤ人を殺害したホロコーストの責任者です。
彼はただ命令に従ってやっただけと言っています。
彼のように、権威者の指示に従ってしまう人間の心理を調べる実験だったので『アイヒマン実験』ともいわれています。
人は残酷な行動をとってしまう可能性がある
さて、この実験は次のように行われました。
被験者をクジで教師役と生徒役に分けます。
実際には、被験者は教師役にしかならないようになっています。
生徒役は実験に協力する役者でやるべき役割も知っています。
生徒役が問題を間違えるたびに、教師役が電気ショックのスイッチを押すという約束。
さらに生徒役が間違えるたびに、教師役は15Vずつ電圧を上げていくという約束なのです。
スイッチを押すたびに、生徒役からは絶叫があがりますが、実際には電気を流していないので役者の演技です。
生徒役がうめき声に変わる辺りから、教師役は実験を続けることに戸惑いを見せ始めます。
しかし、最終的に450Vという致死量の電圧のスイッチまで押した教師役の被験者はなんと実験に参加した人の『65%』にもなったのです。
なぜ、こんなにも多くの人が残酷な行動をとってしまったのか?
人は正常な判断よりも権威者に従ってしまう
教師役が実験を続けることに戸惑いを見せたときに、白衣を着た権威のある博士役の男が出てきます。
『そのまま続行してください』
『全責任は我々が負います』
など、冷静に伝えて、被験者に実験を続行するよう指示を出したのです。
その結果、多くの人が最後の450Vまで押してしまったというわけです。
この実験でわかったこと。
人は権威による命令や、自分に責任がないことならば、誰でも残酷な行動をとる可能性があるということ。
教師や指導者は子供の行動へ大きな影響を与えることを自覚すること
さて、内田監督の発言。
今回紹介した『ミルグラム実験』と重なる部分があるのではないでしょうか?
勝つためならば、悪質なタックルも必要。
権威ある監督。
自分が好きで入部した尊敬する監督の指示であれば、なんの疑問さえ感じなかったかもしれません。
教師や指導者は、自分の教えていることが、子どもに大きな影響を与えていることを、もう一度振り返って指導にあたってほしい。
そんなことを考えさせられた出来事でした。
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